草原とは?
代々人の手で守られてきた
阿蘇の美しい大草原
阿蘇の草原は約1万3千年前、縄文時代から存在したと言われています。本来、日本の気候では、自然の力だけで草原が維持されることはありません。つまり、人と自然が手をとり合い、育んできた場所が阿蘇の草原なのです。
草原は手を入れなければ
あっという間に森林へ
もともと草原は、乾燥かつ低温の場所に生育するもの。四季があり、降水量も多い日本の気候では、草木は樹木へと育ち、あっという間に森林となります。では、どうやって阿蘇の草原は現在まで維持されてきたのでしょうか。
草原を守ってきた方法
-
野焼き
-
放牧
-
採草
阿蘇の草原動画「千年の草原」
なぜ野焼き?
草原を守るための
命懸けの営み。
何もしなければ草原は森と化し、消滅してしまいます。それを“植生遷移”といいますが、採草・放牧と並ぶ野焼きは、その植生遷移を防ぐためにも必要不可欠な工程です。野焼きは家畜に害を及ぼすダニの駆除にも効果的。阿蘇の人々が命懸けで行ってきた野焼きは、草原を維持するためには欠かせない工程なのです。
野焼きって環境に悪くないの?
CO2を排出する野焼きは、環境汚染につながる?いえいえそんなことはありません。縄文時代から行われてきた野焼きによって、草原の土壌に蓄積された炭素は、阿蘇地域一帯が1年間に排出する以上のCO2を吸収していることがわかっています。
草原の恵み
人が手を加えてこそ守られる自然もある。
手付かずの自然は、存在自体がロマンチックで美しいもの。一方で、手入れをされていない森が自然災害の被害を拡大するように、人が適度に手を加えることでバランスが保たれる自然も存在するのです。自然にとって必要な分だけ、人が手を加えること。阿蘇の草原では、人と自然の協働によって生まれた副産物=恵みを間近に見ることができます。
1番の恵みは
この美しい景色!
阿蘇の草原がもたらす「恵み」
-
#01
生物多様性
阿蘇の草原には、絶滅危惧種の「ヒナヒゴタイ」や「オグラセンソウ」などの植物をはじめ、約600種の植物や昆虫、生物などが生育しています。
-
#02
水がめ
草原や森は、雨水を土の中で貯え、渇水時も大雨の時にも一定量の水を河川に送り出す“水源滋養機能”という働きをしています。その働きは、植林よりも草原の方が優れていることがわかっています。
-
#03
減災
火山灰を土壌とする阿蘇地域一帯は、土砂災害が発生しやすいエリアです。森が崩れた場合は、土砂に押し流された樹木が被害を拡大する恐れがありますが、草原の場合は被害が小さく留まるため、災害時の被害緩和にも役立っています。
草原を守るために
私たちができること。
野焼き支援ボランティアをはじめ、直接関わる支援はもちろん、阿蘇を訪れて楽しむことも、草原について学ぶことも、すべて草原の未来につながります。
草原維持活動について
より深く知りたい方はこちら